[歌劇]ドン・ジョヴァンニ(ウォルフガング・アマデウス・モーツアルト)

ドン・ジョバンニ

ドン・ジョバンニ

ドン・ジョバ(裏)

収録曲 [歌劇]ドン・ジョヴァンニ全2幕 LD2枚組(収録時間:177分) [ドイツ語/日本語字幕]
BMGビクター ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団・合唱団(指揮:フェレンツ・フリッチャイ)  1961年9月上演

ドン・ジョヴァンニ(放蕩者のスペインの騎士):ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン)
レポレロ(ドン・ジョヴァンニの従者):ヴァルター・ベリー(バス)
騎士長:ヨーゼフ・グラインドル(バス)
ドンナ・アンナ(騎士長の娘):エリーザベト・グリュンマー(ソプラノ)
ドンナ・エルヴィーラ(ドン・ジョヴァンニに捨てられた貴婦人):ピラール・ローレンガー(ソプラノ)
ツェルリーナ(村の娘):エリカ・ケート(ソプラノ)
ドン・オッターヴィオ(ドンナ・アンナの許婚者):ドナルド・グローブ(テノール)
マゼット(ツェルリーナの許婚者):イヴァン・サルディ(バス)  他

ジャケットの解説によると「1961年9月24日、ベルリン・ドイツ・オペラ杮落し公演のライブ・レコーディング」となっています。ということは、私が6歳のときの作品ということです。当時はデジタル録画というものはなかったと思われますので、映画製作のような形での録画をデジタル処理したのがこのLDという解釈になるのでしょうか。この作品が白黒作品であることが、間違いなく古くささを感じさせてくれます。

第一幕

(第一場)ドンナ・アンナの邸の前。最初に登場するのはレポレロ。「昼も夜も働いて、主人から感謝されるでなく、金になるわけでなし・・・」と愚痴っていると、邸の階段をドン・ジョバンニと夜着姿のドンナ・アンナがつかみあいをしながら出て来ます。犯されそうになったドンナ・アンナが怒りをぶちまけていると、ドンナ・アンナの父(騎士長)が出てきてドン・ジョヴァンニとの決闘になります。そして、いともたやすく騎士長は切り捨てられてしまいます。ドンナ・アンナと後でやってきたドン・オッターヴィオは復讐を誓います。

(第二場)町の広場。必死の思いでドンナ・アンナとドン・オッターヴィオから逃れてきたドン・ジョヴァンニは、ヴェールをかぶった一人の貴婦人を見つけ口説こうとします。しかしその貴婦人は、かつてドン・ジョヴァンニが弄(もてあそ)んだ末に捨てたドンナ・エルヴィーラでした。またもや逃げ出すドン・ジョヴァンニでした。

(第三場)町はずれの広場。他人の結婚式に遭遇したドン・ジョヴァンニは、花嫁のツェルリーナに一目ぼれします。レポレロを使って花婿のマゼットを引き離し、二重唱「あそこで手を取り、君はうんと言う・・・」を歌いながら、ツェルリーナを口説き始めます。迷いながらもドン・ジョヴァンニに心惹かれていくツェルリーナですが、ドン・ジョヴァンニを追ってきたドンナ・エルヴィーラ、ドンナ・アンナ、ドン・オッターヴィオの話を聞きあやういところで我に返ります。しかし簡単に諦めるドン・ジョヴァンニではありません。自分の邸で夜会を催し、そこでツェルリーナをものにしようと考えたのです。しかしこの企みもうまくいきませんでした。仮面をして夜会にやってきたドンナ・エルヴィーラ、ドンナ・アンナ、ドン・オッターヴィオらに邪魔をされ、またまた逃げ出すはめになります。

第二幕

(第一場)ドンナ・エルヴィーラ家の前。主人に愛想をつかしたレポレロが暇を申し出ています。しかしドン・ジョヴァンニはそれを許しません。女への悪行を止めるなら考え直してもいいというレポレロに「一人だけの女に誠実な男は他の女に冷たいんだ。私は心が非常に広いので、どの女も受け入れてしまう。それをわからない女は裏切り者だ」と取り合いません。ドン・ジョヴァンニはレポレロと服を交換し、次の標的はドンナ・エルヴィーラ家の女中であることを告げます。

ドンナ・エルヴィーラ家の窓の下で恋の歌を歌う、レポレロの服を着たドン・ジョヴァンニ。その横ではドン・ジョヴァンニの服を着たレポレロがドン・ジョヴァンニの振る舞いを真似ています。窓から顔を出したのは、ドンナ・エルヴィーラ。ドン・ジョヴァンニのやさしい歌を聴き、遂に心を入れ替えて自分の元に戻ってきたと信じ込み、ドン・ジョヴァンニの服を着たレポレロと腕を組み暗闇に消えます。ドンナ・エルヴィーラがいなくなってホットしたドン・ジョヴァンニは恋の歌を歌い続けます。そこに現れたのは、復讐に燃えるマゼットに引き連れられた村人たち。皆手に武器を持っています。しかしドン・ジョヴァンニはレポレロの服を着ているので、マゼットはまんまと騙されてしまい、遂にはドン・ジョヴァンニに武器を取り上げられ滅多打ちにされます。

(第二場)ドンナ・アンナ家の前。ドン・ジョヴァンニに扮したレポレロは、ドン・オッターヴィオ、ツェルリーナ、マゼットに囲まれ追い詰められます。まだ気づいていないドンナ・エルヴィーラは「この人は私の夫です」とドン・ジョヴァンニに扮したレポレロをかばいます。しかし、命の危険を感じたレポレロは服を脱ぎ棄て「あっしはドン・ジョヴァンニではありませんぜ」と許しを請います。あっけにとられるドンナ・エルヴィーラ。怒りに震えるドン・オッターヴィオは「ドン・ジョヴァンニを殺すまで戻らない」と誓いを立て、ドン・ジョヴァンニの捜索に向かいます。

(第三場)墓地。死んだ「騎士長」の大きな石像の前。逃げてきたドン・ジョヴァンニとレポレロが話をしていると、「騎士長」の石像から不気味な声が響いてきます。石像が立つ台座には「私を死の道へ誘った極悪人への復讐をここで待つ」と書いてありました。怯えて声が出ないレポレロ。ドン・ジョヴァンニは、今夜の晩餐に招待すると「騎士長」の石像に告げると石像は大きく頷きます。

(第四場)ドンナ・アンナ家の中庭。ドン・オッターヴィオはドンナ・アンナに結婚を申し込むが、喪に服しているドンナ・アンナは、父の敵を討つまでは結婚できないと言い切ります。

(第五場)ドン・ジョヴァンニの邸の広間。ドン・ジョヴァンニが夕食のテーブルに向かっていると、ドンナ・エルヴィーラがやってきて改心するようにと哀願しますが、一笑にふすドン・ジョヴァンニ。すると、怒って帰ろうとしたドンナ・エルヴィーラの悲鳴が聞こえます。様子を見に行ったレポレロも腰を抜かしてしまいました。玄関には「騎士長」の石像が立っていたのです。「騎士長」の石像は地響きにも似た声で「ドン・ジョヴァンニ。晩餐に招いてくれたな。それでやって来た。・・・人間の食事は食べないのだ。お前は私を夕食に招いた。今度はお前の義務だ。応えろ。私のところに夕食に来るか。」と言います。

誰からも臆病者と言われたくないドン・ジョヴァンニは「行く」と応え石像と握手します。「騎士長」の石像は「悔い改めよ」とドン・ジョヴァンニに言いますが、ドン・ジョヴァンニは「いやだ」としか応えません。すると、雷鳴とともに爆発が起こり、広間は火の海となりました。火が静まった頃には、「騎士長」の石像もドン・ジョヴァンニの姿も消えてなくなっていました。駆け付けたドンナ・エルヴィーラ、ドンナ・アンナ、ドン・オッターヴィオ、ツェルリーナ、マゼットに一部始終を話すレポレロ。「あの悪者は地獄の王妃と王のところに留まったのだ。これが悪いことをした人間の報いだ。」と皆で歌い幕となります。

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