ごあいさつ

 ホームページ立ち上げにあたって

趣味の棚卸しをしたいとホームページの作成を思い立ってから早や5年。 趣味といっても中途半端なものばかりで、最初は5つくらいのコンテンツを考えていたのですが、人目に曝(さら)すと思うと一つ欠け、二つ欠けし、結局残ったのは二つだけになってしまいました。

もっとしっかりやっておけばよかった。もっとちゃんと残しておくべきだった・・・と、後悔ばかりしながらコンテンツの整理をしてきた5年間でした。

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一つ目のコンテンツ「昭和の文豪「井上靖」読み耽り」は、詩集や小説など多数の作品を遺した作家「井上靖」の作品を紹介するサイトです。私が「井上靖」の作品と最初に出会ったのは、小学校の国語の教科書でした。小説「しろばんば」という作品です。

遠くに富士山が望める伊豆湯ヶ島の小さな部落で、血のつながりのないおぬいばあさんと洪作少年が、土蔵で一緒に暮らす心温まる物語です。事あるごとに冷たく当たる村人たちや一族の人々から、大切なおぬいばあさんを守り、友達と元気に野原を駆け巡る洪作少年は、当時の私にはとてもまぶしく、不思議な存在に思えたものです。

作品の中に、若い叔母のさき子が子供たちを狩野川の川原にある共同浴場に連れていく場面があります。「さき子は血縁のある洪作とみつだけは体を洗ってやり、他の子供たちは、醤油で煮しめたようなタオルを洗ってやった。」というくだりがあって、ここはとても良く覚えています。「醤油で煮しめたような」という表現は特に印象に残っています。

私が通った小学校では、「しろばんば」のことを、冬が近づくとフワフワ宙を舞う雪虫のことであるとも、また、白髪の老婆を指すという解釈もある、と教えてくれました。

旅行や出張に行くと、旅先で時間を見つけては古書店を捜し、井上靖の作品を漁るのを楽しみにしてきました。ここでは、こうして集めた井上靖の書籍を中心に紹介いたします。

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二つ目のコンテンツ「お茶の間歌劇場」は、高校生の頃からクラシック音楽を聴いてきた私が、これまで集めてきた(聴いてきた)LD・CD・レコードなどの音楽ソフトを紹介するサイトです。

20代の頃までは、興味を持った音楽ならジャンルにこだわらずレコードを買い、カセットテープに録音してドライブしながら聴くのを楽しんでいました。あの頃はカーステレオのボリュームをかなり上げて、大音響で聴いていましたので、追尾しているパトカーのサイレンに気づかず、違反キップを切られた苦い経験もあります。

30代の頃、世にLD(レーザーディスク)が出回り、且つ、モーツアルト没後200年という年もあって、歌劇を中心に聴くようになりました。歌劇はやはり映像があってこそ理解できる面があります。それまでは、歌劇場に足を運べない人は、CDやレコードで鑑賞するしかなかったわけで、私はいい時代に生まれたなと幸せに思ったものです。

一方、映像なしでレコードやCDで音楽だけを聴くのも、それはそれでいいものです。やはり、視覚と聴覚を両方同時に動員した場合と、聴覚だけに集中した場合とでは、音楽の迫り方が違うようです(録音の違いもあるかも知れません)。従って気に入った歌劇などは、CDやレコードも持っています。

私がライブで歌劇を鑑賞したのは、わずか一回だけ。しかも名古屋で。本場の歌劇場に行くための時間とお金を考えるとなかなか行けませんでした。したがって、私のオペラ鑑賞は、もっぱら自宅の居間でLDやDVDに頼らざるを得ませんでした。このサイトを「お茶の間歌劇場」と命名した所以です。

「またえもん(又右衛門)」とは、飛騨の貧農であった我が家の屋号です。

2015年(平成27年)4月吉日

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ホームページ立ち上げ一周年を迎えて

私のホームページも立ち上げてから一周年を迎えました。当初は立ち上げただけで満足しておりましたが、昨年の秋頃からは、ほぼ毎日誰かが立ち寄っていただけるまでになり、サイトの一層の充実を心掛けなければと気を引き締めております。

今年1月には、井上靖の命日(1月29日)に合わせて毎年開催される「あすなろ忌」に初めて参加しました。静岡県伊豆市湯ヶ島の井上靖の墓前に集い、墓参、劇団「しろばんば」による古里劇の観劇、関連施設めぐりなど行いました。前夜は地元の温泉旅館に宿泊し、井上文学ファンによる交流会に参加。これがとても楽しかった。関西方面からも来ておられ、結構あちこちで盛り上っていました。

2月には退職記念にと、子供たちが小澤征爾音楽塾主宰の喜歌劇「こうもり」のチケットを手配してくれ、愛知県芸術劇場にて家族で鑑賞いたしました。私にとって2度目のナマ歌劇です。小澤征爾の指揮をじかに観るのは初めてで、開演前からワクワクドキドキ。期待を裏切らないステージでした。ロザリンデ役とアデーレ役の両ソプラノ。オルロフスキー役のメッゾ・ソプラノ。ファルケ役のバリトンが印象に残っています。俳優の笹野高史さんによる「酔いどれ看守のフロッシュ」も好演でした。これまで歌劇なぞに全く興味を示してこなかった子供たちが、最後まで一緒に楽しんでくれたことが何よりも嬉しかったです。

小澤征爾氏の復帰をこの目で確認できたことも嬉しいことでした。これまでも部分的な復帰は果たしておられましたが、度重なる大病(食道癌など)を克服され、見事な指揮ぶりでした。小澤征爾音楽塾の塾生名簿を見ると、中国人の塾生が多いことに気づきます。2009年と2011年の公演は北京と上海で開催された模様です。中国に生まれたこともあって、以前から中国を重視してきた氏の想いを見る気がします。

中国は井上靖とも大変深いつながりがあります。小説「天平の甍」や「敦煌」などの西域小説が縁で、井上靖は生前、中国対外友好協会からの招きを受けています。昭和50年代に一大ブームとなった「シルクロード」についても、NHK取材班とともに日本の文化人の代表として、作家の司馬遼太郎氏や陳舜臣氏らと一緒に中国を訪問しています(代表団の団長は井上靖でした)。そういった交流は関係者を中心に現在に至っていると聞いています。

2016年(平成28年)4月

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